
今年の秋のバスツアーは群馬県吉岡町PGコースに遠征しました。ツアーの内容はFPGAだより64号で紹介されていますのでそちらをご覧ください。
このコースはNPGA(日本パークゴルフ協会)主催の全国大会も開催される関東では屈指の名コースです。最近のYouTube動画でコースの概要をご紹介しましょう。
その前に、このPG場の生い立ちについて。
ケイマンゴルフとは、クラブはゴルフと同じもの使うが、飛距離が半分となる軽いボール(大きさは同じ)を利用し、短いコースでプレー出来るようにしたゴルフ。コースが半分の面積で済むので、都市部の近くに設置でき、料金を安く出来るというメリットが強調され、1990年代に多くのケイマンゴルフ場が乱立した。しかし、プレー感がいま一つで、ゴルフ愛好家に浸透できず、2000年代に入り一気に減少した。


このようなつぶれかかったケイマンゴルフ場を、吉岡町が群馬県から頂戴して、半分をパークゴルフ場とグランドゴルフ場に改造。その後順調に経営改善し、パークゴルフ場はグランドゴルフ場も使い、36ホールとして、NPGA認定のPG場となり、現在まで続いています。バークゴルフの儲けで、ケイマンゴルフを救ったという他に無い珍しいケースです。
ケイマンゴルフ場9ホール(一般のゴルフ場の四分の一の面積)を潰し、4000万円位かければ、36ホールの(広々した)パークゴルフ場を作れるとはビックリです。
パークゴルフ場の稼働から17年後、『2017年の緑地運動公園全体の利用者数は4万人弱、利用料売上は1800万円。部門別では、テニスが減少したが、ケイマンゴルフ、パークゴルフ、グランドゴルフは、利用者数及び利用料とも増加でした(平成30年度吉岡町第2回議会議事録)』。
吉岡町が2001年にケイマンゴルフ場を9ホールにして再開した後も、他の地域のケイマンゴルフ場はどんど閉鎖していったため、国内メーカーはボールを製造中止。ボールの数が残り1700個となり(当然市販していないので、ゴルフ場で貸し出しています)、このままケイマンゴルフ場を続けていいのかと議会で話題になっています(平成23年度第2回議事録)。台湾から輸入し、しのいでいるようですが、マイナーな競技は大変ですね(^^;;;。
さて、ここまでの記述はインタネットに公開されている吉岡町の議会議事録を参考にしています。「そんなもん読むのは退屈だろう」と思われるかもしれませんが、これが面白い。例をあげます。


どんどん脱線しますが、気にしない、気にしない。
ケイマンゴルフ場、パークゴルフ場、グランドゴルフ場を集めた緑地運動公園は「吉岡町振興公社」という吉岡町が100%出資する株式会社を指定管理者として運営されています。この緑地運動公園は、リバートピアという名前の温泉と道の駅かざぐるま(物産館&レストラン)が併設されています。これらは全て吉岡町の予算で開設されたもので、まとめて吉岡町振興公社が経営(指定管理者)しています。
緑地運動公園、リバートピア、道の駅を合わせた売上高は年間2億円(2023年)程度になります。吉岡町の年間予算は80億円程度ですから、市の財政に影響する規模です。
従って、市は吉岡町振興公社に経営コンサルタントを入れて、計画を立案、経営しています。特に大きい投資が伴う場合は、しっかり議会でも議論する。2009年にリバートピアを全面改装していますが、この時の議会議事録から。
議員のご質問
もう1点は、この株式会社吉岡振興公社の企業報告はすばらしい、なかなかこういうあれはうまくまとめもできておりますし大変立派と思うのです。
ただ、私も高齢化していますものですから8ページのですね、外国語が大分入ってきているんですよね。イングリッシュ弱い方でございまして、内容を聞くにも8ページのデッドストックとか、7ページの下の方にあるコストリダクション、それからリプレース、それと5ページのコモディティ化というような。ほかにもいろいろあるんですけれども、まあディスクロージャーとかそういうあれは一般的に新聞や放送で聞いていますからあれなんですけれども、日本語でなかなかそういうあれが表現できる内容が、高度な知識を持っている方だと思うので、できないのでそういうニュアンスでこういう英語を大分使われて、そういう自分の考えを表現していると思うのですけれども、何せ字引を引いてもなかなか出てこない、そういうことで。まあ使ってもらってはいいのですが、一般的にそういうあれが余り通用されていない部分については、ぜひわかりやすい言葉で表現していただければというふうに思いますで、その辺の希望も入れまして回答をお願いしたいです。
財務課長のご返事
それと、この文章表現の中でいろいろ難しい言葉があるというようなことでございますけれども、この辺につきましては私どももそう考えておりまして、この間ラジオ等で聞いておりましたら、10人中7人の人がわからなければ使うべきではないというようなことも言っておりますけれども、この辺についても振興公社と詰めていきまして、わかりやすい言葉でやっていきたいと思っております。
8ページのデッドストックはどんなようなことかというようなことがありましたけれども、この辺については不良在庫を少なくすると。不良在庫と日本語で書いた方か当然わかりやすいかなかと感じております。また、7ページのコストリダクション。この辺、合見積のコストリダクションも困難であるということでありますけれども、費用の削減ということで、これも日本語というか普通に書けばよかったなと考えています。また、5ページのコモディティ化というようなこと。この辺もちょっと私も辞書を引いてみたのですが大変難しくて、辞書を引きますと、コモディティとは生活必需品とか日用品とか書いてあるのですが、この辺ちょっと私も内容的には。またほかの辞書によりますと、コモディティとは消費者がどこのメーカーがつくったものにかかわらず、その基本的な機能を備えておれば購入するようなと。いろいろな国語の辞典がありますけれども、その辺で理解していただければと思います。
ちょっと答え的には不十分かと思いますけれども以上でございます。よろしくお願いします。(「了解しました」の声あり)
日本の国会もこのくらい丁寧な議論が行われば、スムーズに運営されるのですかね(^^;;;。
議事録によれば、ケイマンゴルフの利用者数は緑地運動公園全体の10%~20%だったのですが、2010年代には売上(利用金額)が全体30%を越えるようになりました。この回復基調は20年代に入っても堅調で、全体の40%を越え、パークゴルフに匹敵するレベルとなっているようです。
何故吉岡町でケイマンゴルフが復活しているのか謎ですが、パークゴルフの伸びに関しては、経営努力と地の利があったということでしょうね。説明しましょう。

群馬県にはパークゴルフ場が3つ(高崎市、吉岡町、太田市)あります。この中で、コースのメンテナンス、改善などに一番積極的なのは、株式会社という形を借りて経営している吉岡町のPG場でしょう。18ホールでスタートし、空いてる共用広場を使って27ホールに拡張し、更に、NPGAの全国大会を誘致するために、グランドゴルフ場を利用して36ホールとして曜日で切り換えての運用を可能にしたという経営努力は凄い。
ケイマンゴルフ場に隣接するA/Bコースで18ホールとしてスタート。テニスコートがある共用広場をCコースとして拡張し27ホールに。右側のグランドゴルフ場を金曜日~月曜日はパークゴルフ場として切り換えて使い36ホールに(火曜日~木曜日はグランドゴルフ場として使用)。
また吉岡町の地理的な位置も有利に働いていると思います。地図を見ていただくと分かりますが、群馬県のど真ん中。高崎と前橋に挟まれどちらからでも人を呼び込むことが出来るのは強みだと思います。
吉岡町PG場の特長はケイマンゴルフ場の跡地を利用して、そのままパークゴルフ場にした点でしょう。以下の写真は相馬塾の動画から拝借しました。
広い、自然の起伏がそのまま残されている、池、バンカーなどハザードもそのまま使える、そして広いグリーンなどパークゴルフをゴルフのように楽しめしめるわけです。ケイマンゴルフのようにボールがなくなる心配もない(^^;;;。
4つのパークゴルフコースの中では最初に作られたAコースとBコースが難しいといわれています。それでは相馬塾のBコースをプレイした動画をご覧いただきましょう。
この動画、朝早起きして、誰もプレーしていないPGコースで一人で撮影、プレーするという作り方をしています。アングルやカメラの使い方が巧く、無理なく、まるで自分がプレーしているような雰囲気の自然な映像になっいます。素晴らしいです。このコースの紹介にも最高の出来です。
次はAコースです。こちらはチームenjoy。撮影時期が3月ですで、芝が緑になる前です。それでもコースの良さは十分に分かる動画です。
こちらも広いグリーンですね。グリーンの端っこにオンだと、距離感が通常のパークゴルフ場のグリーンと違いますから行ったり来たり、一杯叩くということになりそうです。
右上の写真は5番のホールインワンの瞬間の映像です。拡大すればカップの淵のボールが見られると思います。
カメラワークが素晴らしいです。数年前の動画だと打ったボールを先を追いかけることが出来ていなかったのですが、50メートル位ならグリーンオンしたかどうか分かります。臨場感バッチリです。
下の写真は全てenjoyパークゴルフの動画からです。
若い人にパークゴルフを普及させるには、こういうパークゴルフYouTuberと連携する一手でしょうね。
どちらの動画も、このPG場の素晴らしさとパークゴルフの魅力を余すところなく伝えています。